ひとり暮らしを始めると「自炊すれば節約できる」と考えがちですが、実際にはそうとも限りません。食材の無駄、調理の手間、光熱費などを考えると「外食やコンビニの方が安いのでは？」と感じることも多いはず。
本記事では、一人暮らしの自炊が本当にコスパが悪いのか、その理由と対策について詳しく解説します。
一人暮らしで自炊がコスパ悪いとされる理由
忙しさと時間の制約が原因
ひとり暮らしの多くの人は、仕事や学業で忙しく、自炊にかける時間を確保するのが難しいのが現状です。特に、仕事帰りの疲れた状態では、買い物をし、食材を調理し、片付けるまでの一連の作業が負担になりがちです。
また、時間の制約があると、つい簡単に済ませられる外食やコンビニ弁当に頼ってしまうことが多くなります。さらに、帰宅時間が遅くなるとスーパーが閉まっていたり、割引された惣菜を狙おうとしても選択肢が限られていたりするため、思うように食費を抑えられないこともあります。
自炊をしようと決意しても、食材を買い揃えるだけでなく、調理時間の確保や献立の計画も必要になるため、実際には思ったよりも手間がかかります。特に、レシピを検索したり、必要な調味料を揃えたりする手間が増えると、最終的には「今日はもう外食でいいや」と考えてしまうことも少なくありません。
加えて、調理後の片付けや洗い物の負担も大きな問題です。フライパンや鍋、包丁やまな板などを使った後は、それらを洗うだけでなく、シンク周りの掃除も必要になります。仕事で疲れている状態でこれらの作業を行うのは大きな負担になり、結果的に自炊を敬遠してしまう要因となります。
食材の無駄遣いが増える
スーパーでは基本的に食材が大容量で販売されており、ひとり暮らしでは使い切れずに余らせてしまうことがよくあります。特に野菜や肉、魚などは日持ちしないため、結局使いきれずに捨ててしまうこともあります。
一人分の料理に必要な食材を買おうとしても、パック売りされているため余りが出やすく、結果的に無駄が増えてしまうことが問題となります。加えて、調味料も頻繁に使わないものは期限が切れてしまい、使い切れずに廃棄することもあるでしょう。
また、野菜の種類を増やそうとすると、それぞれの保存方法や調理方法を考えなければならず、手間もコストもかかります。そのため、バランスの良い食事を作ることが難しくなり、結果として簡単な料理に偏ることも多くなります。
外食とのコスト比較
一見、自炊は安く済むように思えますが、実際には食材の購入費や調理にかかる光熱費、調味料のコストを考慮すると、必ずしも外食より安いとは限りません。
定食屋やファストフードの安価なメニューを活用すれば、時間と手間をかけずにバランスの良い食事が取れることもあります。また、外食には栄養バランスを考慮したメニューも多く、自炊よりも健康的な選択肢になる場合もあります。
さらに、飲食店によっては、単品注文や小盛りのメニューが用意されており、自炊で食材を使い切るよりも無駄が少ない場合があります。また、ランチタイムの割引やクーポンを活用することで、意外と低コストで栄養バランスの取れた食事を摂ることが可能です。
このように、外食は一概にコストが高いとは言えず、時間や手間を考慮すると、むしろ自炊よりも合理的な選択となることもあるのです。
自炊が節約にならないケース
料理準備にかかる時間の実態
食材を切る、調理する、火加減を調整するなど、料理には予想以上に時間がかかります。特に、慣れていない人ほど調理に時間がかかる傾向があり、レシピを確認しながら作業することで調理時間がさらに長くなります。さらに、食材によっては下処理が必要なものも多く、例えば根菜類の皮を剥く、肉の筋を取る、魚を下処理するなど、実際に火を使う前の準備だけで時間がかかってしまうこともあります。
また、一人暮らしでは作る量を調整しにくいため、一回の料理で複数回分を作ろうとすることがあり、その場合は食材の仕込みや保存容器の準備なども必要になります。これにより、さらに時間がかかり、「簡単に作れる」と思っていた料理でも、予想以上の時間を要してしまうことがあります。
片付けや調理の手間について
料理が終わった後の片付けも、ひとり暮らしの自炊の大きなハードルのひとつです。特に、油を使った料理や複数の調理器具を使う場合、片付けにかかる時間が増えます。フライパンや鍋、包丁やまな板などを使用すると、洗い物が多くなり、キッチンの整理整頓にも手間がかかります。また、油汚れの強い食器や調理器具は洗うのに時間がかかり、水道代や洗剤のコストもかかるため、自炊の経済的なメリットが薄れてしまうこともあります。
さらに、料理の際に発生するゴミの処理も負担になります。野菜の皮や肉の脂、魚の骨などの生ゴミは、適切に処理しなければ臭いや害虫の発生原因になるため、こまめに片付ける必要があります。そのため、料理をする前後の片付けを考えると、「時間と手間をかけた割に負担が大きい」と感じてしまう人が多いのも納得できます。
「面倒」と感じる度合い
仕事や学業で忙しい人にとっては、自炊そのものが面倒に感じることも少なくありません。特に、一度外食やコンビニ弁当の手軽さを知ると、自炊を続けるモチベーションを保つのが難しくなります。
また、料理をする際には、事前に食材を揃えたり、メニューを考えたりする必要があり、これらの準備が面倒に感じることも多いです。さらに、自炊が習慣化していない人にとっては、「今日は何を作ろう」と考えるだけでも億劫になりがちで、結局手軽な外食に頼ってしまうこともあります。自炊を続けるには、献立をある程度決めておく、冷凍食品や簡単に調理できる食材を用意するなど、工夫が必要になります。
栄養バランスを崩しがちな自炊
栄養不良のリスク
自炊の際、栄養バランスを考えながら食材を選ぶのは意外と難しく、結果として炭水化物や脂質に偏った食事になりがちです。特に、料理の経験が少ない人や忙しい人ほど、短時間で調理できる麺類や丼ものに頼る傾向があり、野菜やタンパク質が不足しがちになります。また、料理の手間を省こうとすると、加工食品やインスタント食品を多用することになり、塩分や添加物の過剰摂取につながるリスクもあります。
さらに、栄養を意識した食事を作るためには、多様な食材を購入しなければならず、一度に使い切れない食材が発生しやすくなります。そのため、結果的に食品ロスが増えてしまい、コスト面でも不利になってしまうことがあるのです。
作る料理のバリエーション不足
レシピのレパートリーが少ないと、同じような食事が続き、栄養バランスが崩れやすくなります。特に、一人暮らしでは食材を使い切るために同じ料理を何度も作ることが多く、食事の楽しみが減ってしまうこともあります。その結果、飽きてしまい、自炊を続けるモチベーションが下がる原因にもなります。
また、料理の経験が浅い人ほど調理の難易度が低いものを選びがちで、肉や野菜をバランスよく使った献立を考えるのが難しくなります。たとえば、炒め物やパスタなど簡単に作れる料理ばかりになると、栄養が偏る可能性が高くなります。
買った方が栄養価が高い場合も
最近の外食産業では、栄養価を考えたメニューが増えており、むしろ自炊よりも健康的な選択ができるケースもあります。特に、栄養バランスが考慮された定食や、野菜を多く取り入れたメニューを提供する店舗も増えており、手間をかけずに健康的な食事ができる点では外食の方が有利な場合もあります。
また、コンビニやスーパーの惣菜コーナーでは、タンパク質を多く含む食品や低カロリーの食事も充実しており、自炊に比べて効率的に栄養バランスを整えることが可能です。こうした選択肢をうまく活用することで、栄養価とコストのバランスを取りながら食生活を維持することができます。
冷凍食品や作り置きの活用法
簡単にできる冷凍保存のコツ
食品を小分けにして冷凍することで、無駄なく食材を活用できるようになります。例えば、肉や魚は一食分ずつラップで包み、ジップ付きの保存袋に入れることで、必要な量だけ解凍できるため便利です。また、野菜も使いやすいサイズにカットし、下茹でしてから冷凍することで、調理の際にすぐに使える状態を維持できます。
さらに、冷凍の際には、食品が重ならないように平らに並べて冷凍すると、解凍しやすく、収納もしやすくなります。フリーザーバッグや保存容器に日付を記入しておくと、保存期間を把握しやすくなり、食材を無駄にするリスクを減らせます。
作り置きのメリットとデメリット
時間のあるときにまとめて作ることで、忙しい日でも手軽に食事が取れます。例えば、カレーや煮物、スープ類などは一度に多めに作り、小分けにして冷凍しておけば、忙しい日でも電子レンジで温めるだけで食事ができるため、とても便利です。
また、作り置きのメリットとして、毎日の献立を考える手間が省けることや、食材を計画的に使えるため食費を抑えやすくなる点が挙げられます。一方で、同じ料理が続くと飽きてしまうことや、保存期間内に消費しきれない可能性があることがデメリットとして挙げられます。そのため、飽きずに食べるためには、味付けや調理法を変えてアレンジする工夫が必要です。
自炊を楽にする裏技
電子レンジ調理や市販のミールキットを活用することで、自炊の負担を減らすことができます。特に、電子レンジで加熱するだけの冷凍食品やレトルト食品をうまく取り入れると、忙しい日でも栄養バランスの取れた食事が手軽に準備できます。
また、最近では、カット済みの野菜や調理済みの食材がセットになったミールキットも販売されており、包丁やまな板を使わずに簡単に料理を作ることが可能です。さらに、圧力鍋や電気調理鍋などの調理器具を活用することで、煮込み料理やスープなどを放置しながら調理することもでき、効率的に自炊を楽しむことができます。
まとめ
自炊はコスト面で必ずしも優位ではなく、状況によっては外食や冷凍食品を活用する方が効率的な場合もあります。特に、一人暮らしでは食材の無駄が発生しやすく、時間や手間を考えると外食の方が合理的に感じることもあります。実際に、スーパーで食材を購入し、調理し、後片付けをする時間を考慮すると、忙しい日常では自炊よりも外食やテイクアウトを選ぶ方が便利で、負担を軽減できるでしょう。
また、自炊をする場合でも、必ずしもコストを抑えられるとは限りません。調味料や食材のストックを考慮すると、一食あたりのコストが想像以上にかかることもあります。そのため、自炊をする際には、長期的なコスト管理を意識しながら計画的に食材を活用することが重要です。
一方で、自炊には自分の健康を管理しやすいというメリットもあります。外食や加工食品に頼りすぎると、塩分や脂質の過剰摂取につながる可能性がありますが、自炊であれば栄養バランスを考えた食事を取ることができます。手軽に済ませたい場合でも、冷凍食品や作り置きを上手に活用すれば、手間を減らしながらも健康的な食生活を維持することが可能です。
結局のところ、自炊と外食のどちらがコスパが良いかは、その人のライフスタイルや価値観によって異なります。自炊が向いている人もいれば、外食やテイクアウトを効率的に活用した方がストレスを減らせる人もいるでしょう。大切なのは、自分の生活に合った食事スタイルを見つけ、コストと健康のバランスを取りながら、無理なく続けられる方法を選ぶことです。
